2019年6月6日、7日、ニューヨークで昆布の講演会開催
株式会社 奥井海生堂
代表取締役社長 奥井 隆
ニューヨークで昆布の講演会を6月6日、7日の両日開催しました。昨年に引き続きアメリカ最大規模の料理学校、C.I.A(カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ)のニューヨーク本校とマンハッタンにある有名レストラン、ブーレイ・アット・ホームとブーレイ・テストキッチンの計3回、いずれも大好評頂きました。
今年4月にアメリカの人気シェフ、デイビッド・ブーレイ氏が敦賀市の弊社昆布蔵の視察にお見えになり、それがきっかけで今年からマンハッタン中心にある彼のレストランで昆布の講演会を開催しました。ブーレイ氏は、NHK、BSプレミアムの1時間半番組で放映されるほど、日本の料理界でも名の知れたシェフ。特に最近は医食同源の考えから、食で体を元気にするという発想の元、健康になれる料理を目指し、日本の乾物や発酵食品を多用し、油脂をあまり使わない「うま味」中心の料理へとシフトしています。 ブーレイ氏にとって、日本は勉強の場という考えのようで、頻繁に来日されています。特に親しくされている、和食文化国民会議の副会長、京都料亭「菊乃井」の社長、村田吉弘氏から、発刊済みの英語版日本料理大全4巻(全8巻刊行予定)をことづかりました。何よりも日本料理の技術や伝統、文化を学ぶお手本になりますと、ブーレイ氏は大喜びでした。
6月6日のC.I.Aでは学生80名で昆布と水の講義を昨年同様の規模で開催しました。翌日、マンハッタンのブーレイシェフのレストランでは昼に30名、夜に70名の計100名の食に関心の深いニューヨーカーやマクロビオテックの教師、メディア、料理研究家に参加していただきました。参加料は昼が150ドル、夜が180ドルと決して安くはない金額にもかかわらず、驚くほど熱心な参加者でほぼ満席になりました。
ニューヨーカーにとって昆布は初めてという方ばかりでしたが、北海道のそれぞれの昆布の産地から、その歴史や京都とのつながり、料亭料理文化で花咲く昆布文化等の話には熱心に耳を傾けて頂きました。又、6種類の昆布の試飲には大変興味を持ち、特に30年経過した「蔵囲利尻昆布」と新昆布の味覚の違いを、ワインのビンテージの味覚の違いに重ねて、驚きと共に楽しまれていました。引き続き、羅臼昆布、山出し昆布、日高昆布といった種類別に昆布の味の違い、最後にニューヨークの水道水とクリンスイの浄水でとった昆布だしの違いも紹介しました。すべてワイングラスでの本格的な試飲で香りと味の違いが鮮明に感じとれる試飲会は大成功でした。
米国で最も人気のある三星レストランの一つ「シングルスレッド・ファーム」は、以前から弊社の昆布を使用。オーナーシェフのカイル・コノートン氏からも是非、彼のレストランで昆布と柔らかい水のイベントを開催して欲しいと、イベント要請を頂き、米国での和食の関心の高さに驚きました。
経済や文化の中心、ニューヨークのマンハッタンには、これからも世界中から人々が集まり、世界のショウウインドウとしての機能が増していくと思われます。和食ブームが押し寄せるアメリカの中心地での食のプロモーションには限りない可能性があります。あるレストランでは黒龍酒造の清酒がメニューの中でも高級酒として紹介されていました。寿司や日本酒が先行しているアメリカの和食ブームに、いよいよ本格的な懐石料理を楽しむレストランも出てきています。昆布をはじめ和食の素材に興味を示すシェフも多く、米国ではこれからが本当の日本食ブーム到来を予感する旅になりました。